報告書

2015年度 CSR研究会 報告書
「我が国企業の競争力強化に向けたCSRの国際戦略に関する調査研究」

企業におけるCSRのグローバル対応を考慮した場合、先行している欧米型CSRが、事実上のグローバル標準となっており、取り組むべき方向性は明確になりつつあります。例えば、法規制や公的機関による要求事項含め多様な枠組みが過去5、6年ほどで急速に整備され、標準形が確立されつつあります。
一方、アジアを中心とする新興国でもCSRの動きは活発化してきているが、日本企業が現地でCSRを取り組むにあたっての中心課題が必ずしも明確ではない状態となっております。アジア諸国に於いては、欧米型CSRに加えて、先進国とは異なる歴史的背景、文化、人種、宗教、経済格差により、グローバルアジェンダとは異なる各国それぞれ固有のCSR課題が見受けられるのも事実であります。
グローバルに展開する企業に求められる戦略として、グローバル基準等への対応をすると同時に、各国(地域)固有の社会的課題を取り入れたビジネスストーリーを持つことが、自社の円滑な海外進出や他国企業との現地での差別化につながり、持続的な企業価値創造には必要欠くべからざる要素であると考えられます。
そこで、欧米及び新興国(アジア)におけるCSRを巡る規制等の動向についての調査、新興国(アジア)における特徴的なCSR事例の調査、分析、さらにインドネシア企業へのアンケートに基づくCSRの実態調査と日本企業との比較を行うことを通じて、今後の日本企業のグローバル展開における競争力強化に向けたCSR の国際戦略のあり方に関し、提言することと致しました。