報告書

2013年度 CSR研究会 報告書
「企業の社会的責任に関する国際規格の適切な活用のあり方についての調査研究」

企業の社会的責任をめぐっては、経済活動が引き起こす様々な負の側面に対応するように、各国において労働者の 権利保護、環境規制、組織統治などの法制度が整備されてきた。これは、企業活動がグローバル化するに伴い、国 際ルールや宣言・原則・ガイドラインなどが整備されてきたことの反映でもある。この流れの中で、ISO(国際標準化機構)は、2001年より、社会的責任に関する規格の可能性を議論し、2004年からは、マルチステークホルダーによる世界規模の作業を進め、2010年11月に、ISO26000(社会的責任関する手引)を発行した。
我が国では、大企業のCSR報告書などを確認すれば、ISO26000への言及を行う企業が着実に増えつつある。ただ他方で、他の国際規格等と比較検討し、「ISO26000はあまり普及していないのではないか」といった声や、ISO26000を活用している企業からも、実践面で使い勝手があまり良くないといった意見も出ている。
そこで、当研究所内に研究会を設置し、社会的責任に関する宣言・原則・ガイドライン・イニシアティブ・規格等について、我が国企業がどのように、これらを活用しているのか、特にISO26000については、具体的にどのように利用しているのかなどを調査分析することとした。さらに精緻な分析を進める必要は認めるものの、当研究会は、まず今回の調査結果を元に、社会的責任規格等の企業における適切な活用のあり方に関し、提言をとりまとめた。